前回までは窓の断熱性能が低い事、その対策としてその敷地と方位に適した窓の大きさと種類を選定する事をお伝えしました。
そして夏と冬とでは日差しの取り入れ方が違うところまでお伝えしましたので、
今回は太陽の位置(高さ)が窓にどのように影響をおよぼして、どのような対策があるのかを考えたいと思います。
まず夏と冬とでは日差しの強さや日射時間が違う事は皆さんご存じだと思います。
これは何故かと言いますと地球が傾いて自転しながら太陽の周りをまわっているからです。
傾いてる方が太陽に近いのが夏、遠い方が冬になります。
この事から日本の夏至、冬至、春分、秋分の南中時(※1)の太陽高度に違いがあります。
夏至…約78°
春分・秋分…約55°
冬至…31°
上記の太陽の高さから考えると、
夏場は太陽の位置が高く日照時間は長く日差しが強い。
冬場は太陽の位置が低く日射時間は短く日差しはそれほど強くない。
夏の日差しは強く室内の温度が上がってしまい冷房の効きが悪くなるのでなるべく取り入れたくない、
冬の日差しは日射熱を取り入れた方が暖房の効果を高めるためになるべく取り入れたい。
という結論に至ります。
この真逆の夏と冬の日差しを上手に取り入れたり遮るためには…実は日本古来から続く方法があります。
それは庇や軒の出を適した深さで設置する事です。
夏場は約78°と日差しの高度が高いため庇や軒を設ける事により夏場の温度を上げてしまう直射日光を遮る事ができます。
冬場は太陽高度が約31°と低いため庇や軒を取り入れられる深さで設計すれば冬場の温度を上げてくれる直射日光を
取り込む事ができます。
このように適材適所に窓を設置し、日差しを取り入れたり遮ったりする事で、
窓の弱点を克服し家の断熱性能やエネルギー消費の削減に活かすことができます。
※1…南中時とは:太陽がちょうど真南に来る事