前回から「作図」についての続きです。
約3時間もの間に手を止めずに作図するためのトレーニング方法について説明したいと思います。
ここでのトレーニング方法は私が実践してきた内容をご説明します。
受験される方は各資格学校や通信などでそれぞれの作図方法を確立している方もいらっしゃると
思いますし、ぞれぞれのやり方があると思いますので自分のやり方に上手く取り入れられる部分
だけ、良いとこ取りをして頂ければと思います。
まず「作図」という作業についてですが、
図面を描くというのは設計業務に携わっている方は馴染みがあるというか日々図面を描く
仕事をされていると思いますので問題ないと思いますが設計業務以外の方はなかなか馴染みがない作業だと思います。
ただ通常の設計業務と違い、一級建築士製図試験の作図は作図ルーティーンを覚えてしまえば
設計業務以外の方でも約3時間で描き切る事が可能です。
私が実践した作図の順番をざっくりご紹介します。
①基準線を引く
②寸法を記入する
③柱を描く
④面積表を作成
⑤外壁・開口部・出入口を描く
⑥コア(階段・エレベーター)を描く
⑦内部間仕切り壁を描く
⑧便器や机などを描く
⑨部屋名や面積、文字を記入
⑩外構を描く
こんな感じです。
平面図と同時に断面図も基準線や寸法線、外壁の線、文字などを描いて行きます。
順番を確実に覚えるためにひたすら作図の練習をして下さい。
①基準線は1/400図面ですでにスパン割を行っていますのでそのスパンの寸法で1階、2階(ある場合は3階)を
X・Y方向を合わせて一気に引いてしまいます。
各要求室の間仕切りの基準線もここで一気に引きます。
②そしてスパン割で決定した寸法やコアの寸法など面積計算に必要な寸法をを一気に書き込みます。
③柱は□のテンプレートを使って1階から2・3階まで一気に描きます。
④ここで建物の外枠が出来上がっていますので面積表を完成させてしまいます。
面積表を後回しにすると作成する事を忘れてしまう恐れがあります。
そして最後に抜けてしまった事に気が付かず重大な不整合になってしまいますのでかならずここで作成して下さい。
⑤外周の壁を窓の開口、外部への出入口と一緒に一気に描きます。
⑥コア:階段とエレベーターを描きます。
この階段とエレベーターはスパン割で7m×7m、7m×6m、6m×6mの中で階段とエレベーターが納まる
パターンを覚えるためにコアだけ描くの練習もしておいた方が良いです。
上下階の階段位置や階段の回り方など不整合に十分注意して下さい。
⑦各要求室の内部間仕切り壁を描きます。
基準線の時に間仕切り壁の下線を描き、迷いなく間仕切り壁を一気に描きます。
⑧便所の便器や事務室の机、カフェ等のテーブル、屋上庭園のファニチャーなどを描きます。
これらも作図が間に合わなければ最悪飛ばしても良い部分ですが図面を完成度が落ちるため必ず記載して下さい。
サイズを事前に確認し、どんな課題でも描けるように練習しておいて下さい。
⑨部屋名と面積はとても重要です。
これが抜けていれば要求室を計画していないと判断され一発OUTになります。
ここは間違いなく部屋名と面積をセットで必ず記載できるように練習して下さい。
⑩外構は駐車場や駐輪場など課題要求事項になっているものは記載できていないとやはり一発OUTになります。
そのほか植栽やアプローチの表現など一般的に図面を完成させるために必要なものは記載できるように
練習して下さい。
ここまで全て描き切るのに約3時間を目安として下さい。
上記はどんな課題でも全て当てはまる作図方法ですので、作図ルーティーンとして体で覚えてしまって下さい。
体で覚えてしまえば「考えない作業」として手を止めず作図をする事ができるようになります。
これは日々のトレーニングがとても大切になります。
一級建築士製図試験を受験する皆さんは仕事をされている方が大半だと思います。
日々仕事に追われている皆さんはまとまったトレーニングの時間を設けるのが大変だと思います。
私は仕事が終わって家に帰ったらエスキスを2時間前後を目安に行ってその日はそれで終了、
次の日に仕事が終わったら家に帰ってそのエスキスを基に作図約3時間を行うというように区切ってトレーニングしていました。
エスキスばかりが続いてしまったり、作図ばかりが続いてしまうとなかなか頭の中がリセットされず、
飽きてしまったり、考え方が偏ったりしてしまいますのでエスキスと作図、またその間に計画の要点のトレーニングも
挟んで毎日違う勉強ができるようにスケジュールを組んでいました。
私のトレーニング方法を読んで頂いて皆さんの貴重な製図試験のトレーニングに少しでも役に立てましたら幸いです。