前回は階段とエレベーター、机やトイレなどの寸法を頭に入れて描く事をお話させて頂きました。
作図の順番のルーティーン、描く必要のある部品の各寸法を理解してトレーニングを積めば作図の精度の向上、
作図時間の短縮が次第に出来るようになっていきます。
そこまで行きついた方に、もう一つトレーニングをして頂きたい事があります。
それは「フリーハンド」での作図。
基本的にA2サイズの平行定規付き製図版と三角定規や〇や□のテンプレートなどを使用して作図をしますが、
万が一製図版が壊れてしまったり、エスキスや記述に時間が掛かり過ぎてしまい作図時間が少なくなってしまった場合に
この「フリーハンド」がとても役に立ちます。
ちなみに課題文の要求図面のところに「所定の図面を作成し(フリーハンドでもよい。)~」とありますので
フリーハンドで描いても大丈夫です。
今までもフリーハンドで描いて合格された方もいらっしゃいます。
特に何度か一級建築士製図試験を受験されている方や誰かが使用した製図版を譲り受けた方などは製図版が
いつ壊れてもおかしくない状況にあります。
製図試験の本番中に製図版の平行定規が動かなくなってしまった事を想像してみて下さい。
もしそんな状況になったらパニックになって頭が真っ白になってしまいますよね・・・
そんな状況になっても「フリーハンド」を練習しておけば平行定規がなくても描く事ができます。
ちょっとした保険みたいな感じですね。
あくまでも万が一のためのトレーニングになりますので基本的にはここに時間は掛けないようにして、
本番までに2回ほど描いてみる程度で良いと思います。
私も受験した年は2回ほどフリーハンドで描く練習をしました。
描いてみると分かりますが図面精度は下がりますが作図時間は確実に短縮できます。
定規で描く事に慣れているとフリーハンドでは直線がしっかり引けないので仕上がりに不安がある方もいると思います。
定規で描いた図面よりは確実に見劣りはしますが完成すれば何とか見れるレベルにはなります(^^;
あ、ただし通り芯だけは定規を使って線を引いて下さいね。
通り芯はフリーハンドで描いてしまうと建物全体が歪んでしまいますので平行定規を使って線を引いても良いですし、
本当に作図前に製図版が壊れてしまった事を想定して三角定規を使って通り芯を描いても良いです。
製図版が壊れてしまったり作図時間が確保できず未完成で一発OUTになるよりは、見劣りはしてもフリーハンドで
乗り切る方が採点の土俵に上がれるので自分に保険を掛ける意味で是非トレーニングしてみて下さい。
製図版がちゃんと動き、時間も確保できて定規でしっかりと描けるのであればそれに越したことはありません。
フリーハンドはあくまでも最後の切り札として下さい。
「自分は何が起きてもフリーハンドで描けるんだ!」という自信があれば本番に挑む時に気持ちが楽になると思います。