令和2年7月22日に発表されました一級建築士製図試験課題を検証してみます。
まずは公益財団法人 建築技術教育普及センターで発表さました課題内容についてホームページで確認してみましょう。
今年の課題内容で気になった部分、それは要求図書の各階平面図。
しかも試験問題中に示す設計条件等において指定するとあります。
今までの類似課題として、
平成11年、平成23年、平成27年の課題があります。
平成23年は課題タイトルに階数表示されています。
平成11年と平成27年は課題タイトルに階数表示はありませんが集合住宅とあり、要求図書にも基準階平面図とありましたので
5~7階建てが想定できました。
今回は1階平面図・配置図の次は各階平面図となっており階数が想定しずらい内容になっています。
次の検証にもつながりますが居宅サービスを行う施設と居住施設で構成する建築物になりますので、
1階が居宅サービスを行う施設と居住施設を兼用したエントランスホール、居乇サービスを行う施設への提供も含めたレストラン、地域交流室などで、
2階が居宅サービスを行う施設、3階以上が居住施設という構成になるのではないかと考えられます。
ここで3階以上が3階までなのか5~7階まであるのか?という部分です。
基準階として3階から上が同じ居住施設であればエスキスや作図は特に3階以上の部分を同様に想定すればさほど問題はありません。
3階以上の場合に注意しておきたいのは「道路斜線制限」と居住施設部分の「採光計算」です。
隣地斜線制限は住居系の用途地域で5階建て以上の場合には注意が必要になります。
道路斜線制限も住居系では厳しい条件になりますので道路幅員をしっかりとチェックする必要があります。
「採光計算」については今までの「美術館の分館」や「健康づくりのためのスポーツ施設」など検討なしでも問題ない課題が多かったのですが、
今回の課題ではこの「採光計算」はエスキス段階でチェックする重要ポイントのひとつになります。
今回の居住施設という内容から想定すると「採光計算」の対象となる児童福祉施設等(建築基準法施行令第19条第1項)に
該当すると考えられますので開口部の有効面積と居室の床面積の割合が1/7以上必要になります。
採光補正係数は
住居系 D/H×6-1.4
工業系 D/H×8-1
商業系 D/H×10-1
になります。
住居系の用途地域での出題の場合は採光確保が厳しいため隣地境界線との空きをしっかりと検討する必要があります。
敷地条件で南側が公園に面している場合も考えられますので、その際は公園の幅の1/2までを敷地境界線とみなせるため
採光計算は必要ありませんが一番厳しい条件を想定してトレーニングされた方が間違いありません。
今回の内容をまとめますと、
①階数が想定できないため、3階建ての場合と3階建て以上の場合(今までの課題から5階及び7階での検討で良いと思います)をトレーニングする。
②3階建て以上となった場合を考えて道路斜線制限、隣地斜線制限、採光計算のチェックを必ず行うことをトレーニングする。
③道路斜線制限、隣地斜線制限、採光計算は住居系の用途地域の場合が一番不利になるため、住居系の用途地域でトレーニングをする。
以上3点を頭に入れてトレーニングを進めてみて下さい。