前回は過去の課題を読み解く事が重要だとお話をしました。
今回は過去の課題文の読み解き方について詳しくお話して行きたいと思います。
毎年課題は変わりますが、この課題文の構成は基本的に同じです。
ここで前回お話しました「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームーページより
平成25年の問題用紙から昨年の問題用紙までを印刷して下さい。
そうするとまず用紙サイズが違っているのが分かると思います。
以前はA3縦の用紙1枚でしたが近年はA2横の用紙1枚となっており問題文のボリュームが
増えている事が読み取れます。
これは敷地条件や防火設備の凡例などの項目が増えているためです。
ここで「あー問題の内容が増えて読み取るのが大変だなー」と思って読んでいるだけではいけません。
この用紙サイズが大きくなった事によって試験元が受験者に何を求めているかを読み取って下さい。
「敷地条件はこれだけいろいろありますからしっかりと読み取って下さいね」
「防火設備も凡例に基づいてしっかりと図示しなさいね」
と問いかけていると思って下さい。
まず【設計条件】について平成25年から令和元年まで、この【設計条件】だけを順番に読んでみて下さい。
その年毎に表現方法が少しずつ変化しておりますが、ここで伝えたい事はどの年の課題でも同じです。
何のために計画する建築物なのか?
誰がどのように利用するのか?
どのような立地条件なのか?
など課題の建築物を計画するためにとても大切な事が記載されています。
まずこの部分を各年順に読み進めて試験元がどのような建築物を求めているかを読み取って下さい。
そして問題用紙の中で要求室や要求図書のようにズバリ記載されている内容以外の部分、
【留意事項】になりますが、ここも試験元が要求している内容を読み取るためにとても大切な部分になります。
求められている建築物について配置計画や構造計画、設備計画などとても大切な内容が記載されています。
ここも各年順に読み進めて下さい。
その年の計画建物に必要な内容から常に求められている内容も確認できると思います。
試験元がこの建築物に対して何を留意して計画してほしいのかを読み取ってみて下さい。
もう一つ大切な事が記載されている部分があります。
【建築物】の要求室が記載されている表の一番上に共通事項として記載されている項目です。
サラッと記載してある事がほとんどですが、実は計画する建築物に求められる大切な要求事項が記載されているのです。
サラッと記載してあるので読み飛ばしてしまう方も多いと思いますが実に重要な事が記載されておりますので
ここの内容をしっかりと押さえられるように過去の問題用紙の内容を各年順に読み取ってみて下さい。
このように過去の問題用紙を利用して試験元がどのような建築物の計画を求めているのかを
まずしっかりと読み取る訓練をしてみて下さい。
この試験元が求めている内容をしっかりと理解して読み取ることが出来なければ、
どんなに上手にエスキスができても、どんなに早く丁寧に作図ができてもランク3若しくは4になってしまう
可能性が高いからです。
試験元が「このような建築物をこのような内容で計画して下さいね」と伝えている事を、
問題用紙の内容からしっかりと確実に読み取ることが合格につながる第一歩なのです。